● 関節腔内の滑液、血漿の透析濾液に滑膜細胞の分泌液が加わったもので、炎症が発生すると、その形成が変わる。
● 関節腔は、腹膜腔や心膜腔などの体腔と違って、関節包を裏打ちする滑膜と関節腔の間に基底膜がない。そのため、物質の通過を妨げる防御壁を欠き、関節包の間質液と滑液が化学的組成の平衡を保っている。滑膜炎が発生して滑液内に出現した発痛物質は関節包の関節包の間質液に移行し、侵害受容器を刺激して痛みを生じる。
● 捻挫の場合、関節面の相対的関係は正常に保たれているが、関節包、靱帯などの関節支持組織が断裂し、圧痛、運動時痛、関節血腫がみられる。捻挫の瞬間、関節包や靱帯に分布する侵害受容器が外力による歪みに反応して痛みを生じる。この時の痛みは発痛物質と無関係である。しかし、十数秒を過ぎると、局所に現れた発痛物質、発痛増強物質の作用による痛みが加わる。そして、さらに遅れて、白血球の反応に伴う痛みが起こる。これら2種類の痛みは炎症の痛みである。