● sarco:「肉・筋肉」+penia:「減少・消失」(ギリシア語)
● 進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群
● 高齢期にみられる骨格筋量の低下と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下により定義される。
● 筋肉量の低下を必須項目とし、筋力または身体能力の低下のいずれかが当てはまればサルコペニアと診断される。
● ロコモティブシンドローム:ロコモを評価する際、サルコペニアの診断フローと同様、移動機能の障害(歩行障害、バランス障害)の評価方法が使用されている。
● 運動器は、骨という支えがあり、稼働して動く関節があり、関節を動かす動力源として神経や筋肉がある。運動器の一部である筋肉がペニアになった状態がサルコペニアであり、ロコモの中にサルコペニアが含まれているということができる。
1989年:Irwin Rosenbergが「原疾患がなくとも、老化とともに筋肉が衰える」現象について「サルコペニア」と名づけた。当初は骨格筋肉量の減少を定義としていた。 |
その後、サルコペニアの意味は次第に拡大されていった。筋肉量が落ちると筋力が衰え、筋力が衰えると生活機能も低下する。サルコペニアは「高齢期における問題の多くを引き起こす原因となる病態」の意味でも使われるようになってきたが、その結果、病態としてのサルコペニアの定義や「虚弱」との区別が難しくなってきた。 |
2010年:European Working Group on Sarcopenia in Older People:EWGSOPがコンセンサス論文を発表し、サルコペニアの診断フローを提唱した。 |
2010年:(ヨーロッパ静脈経腸栄養学会:ESPENのコンセンサス論文では筋肉量減少と筋力低下を認める状態を、Society of Sarcopenia,Cachexia and Wasting Disorders:SCWDでは筋肉量減少と身体機能低下を認める状態をサルコペニアと定義した。) |
● ヨーロッパのコンセンサスでは、65歳以上の高齢者を対象に、歩行速度が0.8m/secをカットオフ値として測定し、歩行速度0.8m/sec以下の場合は、DXAもしくはバイオインピーダンスで筋肉量を量り、身長の二乗で標準化した上でカテゴリを分け、定められた筋肉量のカットオフ値を診断する。
・・・カットオフ値:0.8m/secは、廃用症候群が進行している重篤なケースをのぞくと、低すぎる。
■サルコペニア肥満
● サルコペニア肥満はサルコペニアと肥満もしくは体脂肪の増加を併せ持つ状態であり、それぞれ四肢骨格筋量の低下(身長の 2 乗または体重で補正)と BMI または体脂肪率またはウエスト周囲長の増加で操作的に定義される。しかしながら、評価方法やカットオフ値は定まっていない。
● 筋肉がやせ細り、代わりに脂肪が蓄積されるタイプの肥満症
● 老化によって筋肉が減少しているのに脂肪だけは残っている状態
● 運動不足と食事量の減少(特にタンパク質不足)
● 生活習慣病になるリスクは普通の肥満の約2倍