● 脊椎と大きな関節の炎症によって特徴づけられる結合組織疾患で、硬直と痛みをもたらす。
● 女性の3倍も男性に多く、20~40歳の間に発症するのが最も一般的である。
● 原因は不明だが、この疾患は家族に共通する傾向があり、遺伝が役割を演じていることを示唆している。
● この疾患は、両親や兄弟姉妹に患者がいる人では、10~20倍も多く見られる。
● 広義にはリウマチ反応陰性脊椎関節炎のグループに属し、脊椎、仙腸関節、股関節など靱帯付着部に炎症を生じ、その結果、脊椎、関節の強直に至る。
[症状]
● 一般に、軽度から中等度の炎症の再燃と、ほとんど無症状の時期が交代する。
● 最も一般的な症状は背部の痛みで、それはある発作と別のときでは強さが違い、1人の患者と別の患者でも異なる。
● 痛みはしばしば、夜に悪化する。動くことで軽減する早朝のこわばりも、非常によく見られる。
● 背中の下部の痛みと、関連する筋肉のれん縮は、前屈するとしばしば軽減される。
● そのため患者はしばしば前屈みの姿勢をとりがちで、もし治療されないなら、永久に屈んだ位置につながってしまう。
● 他の患者では、脊椎は顕著にまっすぐになり硬直してしまう。
● 食欲不振、体重減少、疲労、貧血が背部の痛みに合併する。
● もし肋骨と脊椎をつなぐ関節が炎症を起こすなら、深呼吸するために胸部を拡大する能力を、痛みが制限することがある。時折、痛みは股関節、膝、肩のような大きな関節で始まる。
● 患者の3分の1は、軽度な眼の炎症(急性虹彩炎)の再発性の発作があり、それは通常視力を害さない。
● 少数の患者では、炎症が心臓弁を傷つける。もし損傷を受けた脊椎骨が神経や脊髄を圧迫するなら、冒された神経が供給されている部位で、しびれ、脱力、あるいは痛みが起こりうる。
● 馬尾症候群は稀な合併症で、炎症を起こした脊柱が脊髄の末端から伸びる一連の神経を圧迫するときに、発現する症状から成り立つ。症状には、インポテンス、夜間の尿失禁、膀胱と直腸での感覚低下、そして足関節部で反射の損失がある。