関節痛-変形性関節症

○変形性関節症 osteoarthritis:OA =degenerative joint disease
→変形性膝関節症/動物モデル

  • 関節の疼痛と機能低下を伴うが全身の炎症を伴わない疾患
  • 加齢などによる関節軟骨の退行性変性を原因とする疾患
  • 関節の磨耗・変性・増殖が混在する非炎症性の進行性疾患
  • 四肢や脊椎の関節軟骨が摩耗して関節周囲に骨棘ができるので、関節 痛や機能障害、歩行障害を引き起こす。
  • 関節軟骨の老化現象であり、加齢・代謝障害・循環障害・肥満・性ホルモンなどの影響を背景として、これに機械的影響が加わって出現する。
  • 何らかの原因により、関節軟骨が変性をきたし、荷重による機械的な負荷や軟骨細胞から産生・分泌される軟骨破壊 酵素によって関節軟骨が磨耗する。 軟骨の破壊が進行すると軟骨下の軟骨下骨が露出してくる。その軟骨下骨は荷重の負荷により肥厚硬化あるいは骨壊死が出現し、さらに骨嚢胞が形成される。 一方では荷重の加わらない部分では骨軟骨の増殖が出現し、骨棘 osteophyte が形成される。
  • 膝、股、手、脊椎など全身の様々な関節を侵し、関節の痛みや機能障害、歩行障害などの様々なやっかいな症状を引き起こすので、中・高年者の日常生活動作 ADLや生活の質 QOLの障害の最大の原因のひとつである。
  • 主な症状は疼痛・可動域制限・変形・腫脹・関節周囲の筋萎縮などである。侵される関節は脊椎・股関節・膝関節・手関節が多い。
  • OAの有病率は年齢と共に増加し、70歳以上では、症状の軽いものを含めると30%近くがOAに罹っているという統計もある。
  • 日本の患者数は700万人以上、70歳以上では約3割の人が発症していると推計され、中・高齢者の生活の質を損なう最大の要因の一つとなっている。年齢と共に増加する。
  • 古典的にOAの病態の主体は軟骨変性と考えられてきたが、1990年代にな りOAは軟骨と骨のどちらの疾患か、つまり”chondrocentric”に対して”osteocentric”という議論が盛んになった。それについて以下の2説があるが未だ結論は出ていない。
  • OAの病態に関する近年の知見の増加に伴い、OAは軟骨のみならず骨、滑膜、半月板、靱帯、筋肉、神経が疾患の発症から進行まで複雑に関与する全関節組織の疾患と考えられるようになってきている。
  • OA関節軟骨細胞は病態の初期に細胞外基質産生を一時的に増やすと同時にIL-1(interleukin-1)などの炎症性サイトカインやMMPs(matrix metalloproteinases)およびADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)などの酵素を産生して自ら関節軟骨の破壊に関与する。細胞外基質の変性・消失による微小環境の変化によって中間層から深層の軟骨細胞は肥大軟骨細胞へと形質変化する。
  • これに伴って軟骨の最終分化に関連した分子であるVEGF(vascular endothelial growth factor)やRUNX2(runt-related transcription factor 2)、MMP-13などが産生される。軟骨細胞外基質は石灰化しtidemarkが上昇し軟骨は次第に菲薄になっていく。これらの変化と並行して軟骨下骨の硬化と骨梁のリモデリングが生じる。
  • 米国リウマチ学会では、アセトアミノフェンを、軽度から中等度の変形性関節症患者への鎮痛薬の第1選択薬としている。
  • 2011年2月23日付けで、経皮吸収型のブプレノルフィンが認可された。
  • 骨に対する治療薬がOAに対しても治療効果があるのではと考えられ、ビスフォスフォネート、カルシトニン、SERM(selective estrogen-receptor modulator)などをOA治療薬候補として臨床試験が行われた。
  • OAの構造的変化を修飾する作用薬:disease modifying osteoarthritis drug:DMOAD
  • 変形性関節症の原因遺伝子が「アスポリン」であることを理化学研究所のチームが発見した。