● 諸検査で器質的あるいは特異的な病理所見を明らかにできない持続的で特異な身体愁訴を特徴とする症候群で、それを苦痛と感じて日常生活に支障を来す。
● 1990年代の後半から、質的な原因の有無に関わらず痛みなどを訴える疾病概念として「Functional Somatic Syndrome:FSS」という呼び名が提唱されるようになった。
● Simon Wessely(King’s College Londonの精神科教授)が提唱した。 参考1/2
● Michael Sharpe(Saint Cross College, Oxfordの心理学教授)
● FSSの3つの愁訴の主なタイプ
1. さまざまな部位の痛み
2. 種々の臓器系の機能障害
3. 倦怠や疲労困憊
● 代表例:過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症
● その他:非特異的胸痛、月経前症候群、機能性消化管障害、顎関節症、舌痛症、緊張型頭痛、過換気症候群、ヒステリー球症候群、低髄液圧症候群、慢性むち打ち症、慢性腰痛症、間質性膀胱炎、慢性骨盤痛、めまい、耳鳴り、化学物質過敏症、シックハウス症候群など
● 線維筋痛症とmuscular TMD(顎関節機能障害Temporomandibular joint dysfunction)には、慢性疼痛や抑うつ・不安に対する高い傾向性、睡眠障害など症状の重複が多くみられ、線維筋痛症患者の70%がTMDの診断基準を充たすとの報告もある。
● FSSの病態に深く関わる因子としては、脳内の神経伝達物質であり、不安や痛み、睡眠、食欲や呼吸など様々な身体機能を司るセロトニンとの関与が示唆されている。