痛みの多層化説

“John D. Loeserによる痛みの多層モデル( A model for conceptualizing the multilayered nature of pain)

痛みには、侵害受容 nociception、痛み知覚 perception of pain、苦悩 suffering、疼痛行動 pain behaviorの4層構造がある。
痛みの多層モデルは、認知行動療法の基礎となる考え方である。

侵害受容(nociception): 侵害刺激により神経自由終末にある侵害受容器に電気的インパルスが生じること ←対処:痛みを引き起こす外傷などの病理への治療
疼痛の知覚(perception of pain): 侵害受容によって、複数のニューロンを経由して大脳皮質に到達したときに様々な程度の痛みとして認識される。 ←対処:神経ブロック
苦悩(suffering): 痛み知覚により引き起こされる、人間が感じる様々な苦しみのすべてであり、痛みに伴う不安や恐怖、抑うつなどに伴う苦しみ陰性感情 ←対処:認知療法(教育、自律訓練法)
疼痛行動(pain behavior): 苦悩により引き起こされる、言語的・非言語的表現、および痛みを回避するための行動。 ←対処:行動療法(オペラント条件付け)
ex)「痛い」と叫ぶ。顔をこわばらす。痛い箇所を手で押さえたり、仕事を休み、病院に行く、ドクターショッピングをする、労災申請をする。