疼痛性障害 Pain Disorder

→DSM-Vではなくなる。

DSM-I (1952) 精神生理的障害 psychphysiologic disorder
DSM-II (1968) 精神生理的障害 psychphysiologic disorder
DSM-III (1980) 心因性疼痛障害 psychogenic pain disorder
DSM-IIIR (1987) 身体表現性疼痛障害 somatoform pain disorder
DSM-IV (1994) 疼痛性障害 pain disorder
DSM-IV-TR (2000) 疼痛性障害 pain disorder
DSM-V (2014) ・・・身体表現性障害に「疼痛」に関する小分類はなくなる。
疼痛性障害の分類(DSM-IV-TR)
307.80 Pain Disorder Associated With Psychological Factors
心理的要因と関連した疼痛性障害
307.89 Pain Disorder Associated With Both Psychological Factors and a General Medical Condition
心理的要因と一般身体疾患の両方に関連した疼痛性障害
 急性:持続期間が6ヶ月未満 慢性:持続期間が6ヶ月以上
疼痛性障害の定義 (DSM-IV-TR)
A :1つまたはそれ以上の解剖学的部位における痛みが臨床像の中心を占めており、臨床的関与が妥当なほど重要である。

B:その痛みは、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C:心理的要因が、痛みの発症、重傷度、悪化、または持続に重要な役割を果たしていると判断される。

D:その症状または血管は、(虚偽性障害または詐病のように)意図的に作り出されたり捏造されたりしたものではない。

E:痛みは、気分症が不安障害、精神病性障害ではうまく説明されないし、性交痛症の基準を満たさない。

● ICD-10では、身体表現性障害のうちの「持続性身体表現性疼痛障害」に相当する。
F45.4 持続性身体表現性疼痛障害
主な愁訴は、頑固で激しく苦しい痛みについてのものであり、それは生理的過程や身体的障害によっては完全には説明できない。痛みは、主要な原因として影響を及ぼしていると十分に結論できる情緒的葛藤や心理的社会的問題に関連して生じる。

● 意図的に作り出されたのではない痛みであり、かつそれが臨床的な関与が必要なほど重篤で、そのためQOLが著しく低下しており、さらに心理的な要因が痛みの発症や重症化、悪化などに重要な役割を果たしている状態。
● 解剖学的に説明のつかない痛み-痛みに見合うだけの病変が見いだされない痛み
(診断がつかない痛みのすべてを、「疼痛性障害」と定義するという意味ではない。)
● 疼痛性障害の特徴は、過度な痛みの訴えである「痛み行動」である。
● 患者の満足が得られないことに対する医師の責務感から頻回の手術が施行されたり、特別扱いをされていたり、そういった特殊な注目を集めることで、患者の痛み行動が強化されていることもある。
● 患者の訴えが、「気のせい」として無視されがちになり、医療スタッフと患者の信頼関係が障害されて患者の医療不信が生じ、二次的な医原性因子として病態を修飾している症例もいる。
● 疼痛性障害の評価や治療には、生物心理社会モデルでの病態理解が必須であり、心身症としての取り扱いが妥当である。

[疼痛性障害の治療]

● 疼痛性障害の治療対象も、過度な痛みの訴えである「痛み行動」である。
● 薬物療法の施行以前に、その心理状態を理解することが大切である。
● 患者の痛みに対する認識を変えることによって、痛みに対する行動の変容を促すことが重要である。患者自身の痛みに対する認識を変え、「自分で何とかコントロールできる」、「何とかなりそう」というように再認識させることで、患者の自分自身に対する見方を「受け身的・反応的・無力」から、「積極的・臨機応変・有能」へ変換し、患者自身が持っている能力に対する自信の回復を促し、その結果苦痛が軽減され、痛みに対する能動的で適応的な行動、つまりはより良い対処行動をとれる様にする。
● 器質的・機能的・心理的病態の複合した病態である疼痛性障害に対する治療は、各次元での身体的治療を充分に施行した上での認知行動療法が有用である。
● 心理学療法、抗うつ薬による鎮痛効果が期待できる。