術後腰下肢痛

● 腰椎手術を施行したにもかかわらず、腰下肢痛、しびれなどの症例が不変、残存、あるいは再発したもの
● 椎間板ヘルニアや脊椎症、変形すべり症、分離すべり症などの退行性腰椎部疾患由来と考えられる病態に対し、手術療法を選択し、手術後の種々の障害を呈している状態。一般に、術後成績不良例と同義で、術前の症状が不変あるいは術後さらに、軽快悪化している状態だけではなく、症状は術前よりも軽快しているが日常生活や社会生活の支障が残存し患者の満足がえられていない状態。
● 腰仙部神経根症はしばしばみられる。
● 神経損傷後疼痛、椎間板原性疼痛、筋由来の疼痛、心理環境因子などが複雑に関与していることが多い。
● アメリカでは、頻度が高く、脊椎手術の適応条件、文化的背景などが発生率に関与していると思われる。

術前因子 ● 不十分な病態の把握による選択術式の誤り
術中因子 ● 神経根の検索不足
● ヘルニアの見落としあるいは取り残し
● 椎弓切除不あるいは高位の誤認
● 不十分な黄靱帯の処置後の瘢痕によるpost laminectomy stenosisの発生
術後因子 不安定性や癒着性くも膜炎の発生
治療による因子 ● 硬膜外ブロックによる癒着性くも膜炎
● 神経根ブロックによる癒着性くも膜炎
● ミエログラフィーによる癒着性くも膜炎
手術以外の因子 ● 椎間板の変性
● degenerative stenosis
● ヘルニアの再発
その他 ● 心理環境因子
● 手術前の責任制期?中部位や病態が変化している可能性
症状の推移 原因
術直後から症状に変化がない、
あるいは悪化
● 術前の高度な神経障害(しびれ、感覚鈍麻、筋力低下)の回復遅延、医原性の神経障害(術中神経損傷など)があげられる。
● また、術前の不完全な病態把握による不十分な手術が原因の場合もある。
● 例えば、椎間板ヘルニアでは脊柱管狭窄の合併症例における神経根幹の徐圧不足、脊柱管狭窄での両側神経根障害例に対する片側のみの徐圧、あるいは片側2根障害例に対する1根のみの徐圧など。
術後一時症状は軽快するも、術後2年以内に術前と同様あるいは新たな腰痛や下肢痛が出現 ● 一般には、同一部位での同一病態の再燃による症状が多い。
● 例えば、椎間板ヘルニアの再発や脊柱管狭窄症状の再燃である。
● ほかに、椎間板不安定性の出現や神経周囲の癒着や炎症、癒着性くも膜炎による症状再燃があげられる。
術後一時症状は軽快するも、術後2年以降に術前と同様あるいは新たな腰痛や下肢痛が出現 ● 同一部位での同一病態の再燃では、脊椎管狭窄の再燃や椎間不安定性の出現が多い。
● 初回手術の脊柱部位以外での障害、特に、隣接椎間での障害発生。
● 隣接椎間の障害は、初回手術時に固定術を施行された症例に多い。

● 整形外科的手術適応はなく、各種神経ブロックや脊髄電気刺激療法などに対してもあまり効果がみられず、難渋する。
● 脊髄電気刺激療法が有効とされる?
● 神経根あるいは硬膜管周囲組織の癒着や炎症があり、他の処置等でほとんど軽減傾向がみられなかった患者には、エピドラスコピーが有効