慢性炎症性腸疾患-潰瘍性大腸炎 

● 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の疾患。
● クローン病とともに炎症性腸疾患 IBDに分類される。1973年に厚生省の特定疾患に指定された。
● 特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛。
● 病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がる。
● 病変の拡がりや経過などにより下記のように分類される。

病変の拡がりによる分類 全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎
病期の分類 活動期、緩解期
重症度による分類 軽症、中等症、重症、激症
臨床経過による分類 再燃緩解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型

[症状]

● 最も一般的な症状は、粘血便、下痢、腹痛不快感で、頻回または急激な便意を伴うことがある。活動性の高い潰瘍性大腸炎の患者は1日6回以上排便、頻拍、発熱、貧血などの症状を示す。
● 若年者でこれらの症状をみた際には潰瘍性大腸炎を疑って精査する必要がある。
● 合併症として腸閉塞、腸管穿孔をおこして緊急手術が必要となる場合がある。
●また、潰瘍が深くなって固有筋層に及び、広い範囲の腸管神経叢が露出すると腸管の収縮機能が失われ、大腸の拡張をみるようになる。この状態が中毒性巨大結腸症であり、穿孔の危険もあるため腸管摘出が必要となる。
● 罹患中、治癒後とも大腸癌の合併頻度が高い。この大腸がんは未分化で浸潤性が強く、悪性度の高いことが多い。