筋痛-コンパートメント症候群 compartment syndrome: CCS

● 外傷や手術後に、骨格筋の腫脹・浮腫の結果として、筋コンパートメント内組織が壊死する、痛みを伴う症候群。過度な運動によっても起こる。
(下腿骨の固定術を終え、ギプス固定の状態で病室に戻って来た患者が、下腿部の疼痛を訴え始める。)
● 大腿や上腕ではあまり起こらないが,下腿・前腕ではコンパートメントがいくつかに分かれているので起こりやすい。

■筋区画 コンパートメント compartment

● 筋肉は、筋膜や骨など伸縮しない組織で囲まれて、1つの閉じたコンパートメントの中に存在する。
● 下腿部には2本の骨(脛骨と腓骨)があり、筋膜に囲まれた4つコンパートメントがある。

前方 anterior 前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋
外方 lateral 長・短腓骨筋
浅後方 superficial posterior 腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋
深後方 deep posterior 後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋
コンパートメント症候群の徴候
1.  puffiness (腫脹)
2.  pain(疼痛)
3.  pulselessness (脈拍消失)
4.  pallor (蒼白)
5.  paralysis (麻痺)

[急性コンパートメント症候群]

● 急性コンパートメント症候群は、数時間で成立する。
● 筋コンパートメント内で、浮腫や出血が神経や血管を圧迫する。
● コンパートメント内圧が血圧より高くなると、細動脈が閉塞し、筋や神経への血流が滞る。
● 神経や筋組織への酸素と栄養の供給が阻止されて、壊死に陥る。
● 早い時期にコンパートメント内圧上昇を阻止できなければ、組織損傷や壊死は不可逆的となり、機能障害は永久的なものになる。
●筋膜内の組織圧が40mmHgを超えると筋壊死を来してくるので、減圧のため筋膜の切開を行う。

[慢性コンパートメント症候群]

● 慢性コンパートメント症候群は、運動による疼痛と浮腫で特徴づけられる。
● コンパートメント症候群は、アスリートにとって致命的になる可能性がある。
● トレーニングを重ねて筋肉が肥大しても、筋膜はすぐには拡大しないため、コンパートメント内圧が高まり、コンパートメント症候群となる。

[コンパートメント症候群を引き起こす要因]

1.骨折 →フォルクマン拘縮
2.捻挫
3.血腫
4.刺創
5.広範囲の熱傷
6.電気による損傷
7.血行再開後の状態
8.きつすぎるギプスや包帯
9.激しい運動・酷使により生じる慢性的な状態