骨の痛み-骨折

■橈骨遠位端骨折 コーレス骨折 colles fracture

● Abraham Colles(1773/7/23〜1843年, アイルランドの外科医、解剖学者)が1814年に「On the Fracture of the Carpal Extremity of the Radius」の中で記載し、「Colles fracture」と命名した。
● 年齢を問わず高頻度に見られる手関節と前腕部の骨折、背屈位・回内位で発生する骨折
● その原因のほとんどが転倒したときに手を突いて発生する。
● 症状:手関節の痛みや腫れ、フォーク状変形(手関節がフォークの様に変形する)や運動障害を認める。
● 時に、骨片によって神経が圧迫されて橈骨神経麻痺や正中神経麻痺を発生する事もあるので要注意。
● 合併症:手根管症候群、ズデック骨萎縮、長母指伸筋腱断裂
● 橈骨遠位端骨折後に予防的にビタミンCを服用するとCRPSの発症率が抑制されるという報告と、有意差がないという報告とがある。

■大腿骨頸部骨折 femoral neck fracture

● 大腿骨の近位部の骨折
● 関節包内に骨膜性骨新生がないため難治になりやすく、大腿骨頭壊死を合併しやすい。
● 成人〜高齢者に多い骨折:骨粗鬆症の老人が転倒した際に生じやすい。
● 骨折線が関節包内にあるか関節包外にあるかにより、内側(内転)骨折と外側(外転)骨折に分類される。大部分は内側骨折である。

■大腿骨頸部内側骨折 medial femoral neck fracture

● 股関節を包む関節包より内側の中の骨折
● 内側は血流が乏しいため、折れた骨はくっつきにくい。
● 骨粗鬆症による骨強度低下で、転倒や日常生活的な過重などの外力によって生じることが多い。
● 骨癒合が最もしにくい骨折。
● 骨折部が関節包内にあるため、外骨膜がなく骨膜性仮骨が形成されないことや関節液が骨癒合を阻害する。
● 骨頭の血流は、主に大腿骨頭部から入ってくるために、骨折により骨頭側の血流が阻害されてしまう。骨頭壊死・偽関節形成のおそれ。
● 骨折線が斜めになることが多く、骨折部に剪刀が働くために、骨癒合が難しい。

■大腿骨頸部外側骨折 lateral femoral neck fracture

● 股関節の関節包より外側で骨折
● 内側骨折に比べて血行動態も良好なため比較的骨癒合しやすい。
● 大転子を転倒などで強打して発症することが多い。
● 内側骨折に比べ、関節包外のため外膜があり血流も豊富で骨癒合を得やすい。

[骨折の合併症]

● ショック
● DIC
● 脂肪塞栓症候群
● 肺塞栓症
● 阻血性拘縮(フォルクマン拘縮)
● 反射性交感神経性ジストロフィー
● 外傷性骨化性筋炎
● 阻血性骨壊死
● ズデック骨萎縮
● 関節拘縮
● 慢性骨髄炎